化学物質過敏症と災害


災害といっても様々な災害がありますが、宮城県は地震が多い地域です。

そして、地震が起きれば津波や土砂崩れの心配があります。

台風は通り道ではないのですが最近は被害も受けています。

また、宮城県は火山や豪雪などは少ないのですが、地震や台風や豪雨による水害による被害が起きています。

 

化学物質過敏症の場合は、一般の方の避難とは全く違います。

自治体が準備してくれる、一般的な避難所には行けません。

一般の支援物資も使えない・食べられない。(炊き出しも含む)

という方が多くいます。

 

化学物質過敏症向けの専用の避難所が必要になります。

平常時でも周囲の無理解に苦しんでしまうので、まだ理解していない方にとってはあり得ない事の連続で、「わがまま」「贅沢」などと言われてしまいます。

必要な理由は、『お互いにトラブルにならない為』です。


化学物質過敏症という病気は・・・

一般の方にとっては何ともないレベルの極微量の化学物質によって体調が悪くなってしまう病気です。

化学物質は『呼吸』によって体内に入ってしまいます。

視覚・聴覚・味覚・触覚は・・・

多くの情報がある中で、「見たいもの」や「聞きたいもの」を選ぶ事が出来ますが、

嗅覚だけは選ぶ事が出来ません。

その場にある空気を吸う事しか出来ません。

『空気』というのは誰もが共有しているものですので、自分は良くても相手にとっては良いものとは限られません。

また、食べ物は肝臓で解毒されますが、呼吸から空気として入った化学物質は、解毒がされずに脳や血液へと入って行きます。

 

地球上の化学物質は1億種類を超えているようですので、全ての化学物質を避ける事は現代の社会においては不可能な時代です。

特に『香害』と言われているように、周りの人の香料によって体調が悪くなってしまいます。(体臭とは違います。)

衣類からの合成洗剤や柔軟剤の香り。

髪の毛からのシャンプーや整髪料や、日数が間もない場合は毛染め剤やパーマ液の香り。

喫煙者の息からのタバコ臭。

様々あります。

 

一般の方にとっては気づかないレベルの香りなので、想像もつかない方も多く理解を得られる事がとても困難ですので、集団生活という事がとても不可能になってしまいます。

そして、起床時は反応したらすぐに逃げる事によって化学物質を最小限に抑える事が出来ますが、起床時よりも就寝時というのは無防備に呼吸をしてしまうために、化学物質を全て吸い込んでしまいます。

吸い込んだ化学物質の量によって体調に影響が出てしまいます。

 

詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

化学物質過敏症とは?・・・コチラ

症状・・・コチラ

診断基準・・・コチラ

 


他の病気に例えると?

例えば、人工呼吸器が必要な人、透析が必要な人、酸素吸入が必要な人が、これらが出来なくなってしまう事と同じ事なのです。

 

また、香害というのは

糖尿病の人が砂糖。

透析患者が食塩。

水分制限の患者が水分。

を摂取するのと同じ事なのです。

でも、なかなか理解してもらえません。


目に見えない障害

「目が見えない障害」ではなくて、見た目では分からないという意味です。

平常時からの『周囲の無理解』は、

災害時は残念ながら・・・さらに悪化してしまいます・・・。

ほとんどの人が経験していない、目に見えないので、理解してもらえない・・・。

『ワガママ』『贅沢』などと言われてしまいます。

 

例えば、

「こんな時にそんな事を言っている場合ではない」

と言われてしまいます・・・。

また、「不公平」と言われてしまう事もあります。

 

換気の為に窓を開けたり、空気清浄機を使う事が、『うるさい』『寒い』などと言われたり、不満を持たれたりします。

 

発症者はヘルプマークを持って頂きたいです。

ヘルプマークについては → コチラ


どんな物に反応してしまうの?

地震や水害など多くの災害では砂ぼこりになります。

被災地はどんな人であってもマスクが必須な状況です。

水害ではありとあらゆる化学物質が流れて来ます。

二次災害として火災も発生する場合もあります。

東日本大震災の後は、光化学スモックのような状況でした。

 

災害の種類や程度などによっても違いますが、それぞれです。

また、反応する物も個人差が大きいので、以下の5つだけ該当するという方もいれば、10個という方もいれば、全部という方もいます。

また、反応した時の症状や程度も違います。

これらの全てを避けるという事は困難です。

 

周りの方々の様々な香料やその他の化学物質。

床に使っているワックス。

畳のい草のにおい。

毛布に使われている洗剤類の香り。

建物からのVOC。(特に、建物が新しい場合は要注意)

天然素材でも、スギやヒノキなどのにおい。

座布団や建物やエアコンなどのカビ。

学校の場合は、平常時からの香り。

周りからのキンモクセイなどの香り。

ダンボール製の仕切りやベッドは接着剤に反応するので、例えば、ダンボルギーニなどでもとても苦しいです。

 

時期によっては・・・

虫除けスプレーや殺虫剤。

ストーブの灯油。

様々な化学物質があります。

 

入浴が出来ないために・・・

清潔を化学物質に頼られる事も増えてしまいます。

水を使わないシャンプーやお肌を清潔に保つための商品はエタノールが含まれています。

手が洗えずにウェットティッシュ(エタノール)で拭かれる方も多いかと思います。

テーブルやトイレなど感染症予防の為に、消毒薬を多用される恐れもあります。

制汗剤、消臭剤、消毒薬、香水など必要以上に使われてしまう事もあります。

喫煙所があり喫煙をする方もいるかもしれません。

車中避難をしている方がいたら、排気ガスに反応する方は反応するかもしれません。

 

また、一般的な支援物資が食べられない、使えない・・・という事だらけです。

 

飲食物は

飲食物に使用されている化学物質に反応している人。

(農薬、肥料、添加物、薬品など)

素材そのものに反応している人。

食物アレルギーの人。

など、様々な物に反応している方がいます。

 

そして、衣類をはじめ様々な物において『新品』のにおいに反応してしまうために、新品が苦手なのです。

 

でも、この様な事があっても、不便な事を解決する為には化学物質が使われており、避難生活では周りの方に「○○をしないでほしい」とお願いをするのは不可能に近いことです。

だからこそ、災害時の避難所は化学物質過敏症の専用として必要になります。

県内に1つだけでも専用として使用させて頂ける場所をご提供して頂けると助かります。


障害者差別解消法

この様な法律はご存知でしょうか?

役所や事業者に対して、障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたとき(注)に、負担が重すぎない範囲で対応すること(事業者においては、対応に努めること)を求めています。

詳しくは → コチラ


まずは伝えよう!

でも・・・相手に伝えなければ伝わりません。

その事に対して、不平不満を言ったり、怒りを表したり、感情的になったり・・・。

という事が良くない結果に繋がってしまいます。

そして、伝える事をすれば理解してもらえる相手なのにわ伝えないから伝わらない・・・。

という事は、とてももったいないです

 

出来ない事を、どうやったら出来るようになれるか?

課題はいっぱい!でも、まずは伝える。

伝わらなかったら、その時にまた考える。

 

事前にお住いの自治体にお伝えしておきましょう。


化学物質過敏症向けの避難所

化学物質過敏症向けとは言っても、反応する物が人によって違うために、平常時でも発症者同士でも反応してしまう事もあるために、全ての発症者が完全にというわけではありません。

 

どんな物があるかではありません。何もなくていいのです。

一般の方々と分けた専用の空間があるだけでもとても助かります。

会議室など1つご協力を頂きたいと思います。

使い方は避難される方々によります。

1つの都道府県で1ヶ所作って頂けるだけでも助かります。


ぴゅあいの避難所

市役所に防災対策本部が出来たと知ったので、すぐに電話をしてみました。

 

結果から言うと・・・

場所が決定するまでに、何時間もかかりました。

そして、それを伝えるまでに、さらに何時間もかかりました。

伝えているうちに・・・

外出する方が危険な状況になりました。

 

まずは、福祉避難所についてどのようになっているのかをお伺いしました。

福祉避難所については、考えていなかったようです。

 

なので、化学物質過敏症についてお伝えして、どこかの部屋を専用に1つ貸して頂きたいとお伝えしました。

 

各公民館に問い合わせをしてくださいましたが、どこの公民館も既に避難者が来ているとの事で無理でした・・・。

そして、学校を提案されました。

学校では体育館が避難所として指定されています。

体育館の一部かまたは体育館の控室などを、学校にお願いしてみてください。

と言われましたが・・・

体育館の一角で空気清浄機を使っても開放的なので、空気清浄機の意味がない・・・。

控室も様々な物に反応してしまう。

さらに、学校というだけで、現在は香害の温床になってしまっている・・・。

という事で、再度交渉しました。

 

市役所の災害対策本部の方が、公民館に連絡をして交渉をしてくださいました。

そして、ある公民館の会議室を貸して頂ける事になりました

 

『顔が見える関係』

って、本当に大切だと改めて感じました

 

色んな公民館を使って活動をして、事前に館長さんに化学物質過敏症についてお伝えして、私達について知ってもらっておくという事は、このようなSOSの時に受け入れて頂けるというのは、本当にありがたいです

 

今回、受け入れを了承してくださった公民館の館長さんは、2016年6月に新聞掲載された時に、ちゃんとファイリングをしてくださっていました。


夢の避難所のご案内

以下の内容でご案内をさせて頂きました。

全国初の事例なので、全国ににこの情報が広がりました。

 

 ↓↓↓

 

【拡散希望】

 

福祉避難所として、化学物質過敏症向けの避難所として運用させて頂ける事になりました。

宮城県にも台風が近づいて来て、各自治体に災害対策本部や避難所が開設されて来ています。

 

化学物質過敏症の人は、災害時にほとんどの人は行政が用意する一般的な避難所には行けません。

周りの方々の香りや様々な化学物質によって体調が悪くなってしまうためです。

 

そこで・・・

ぴゅあいでは、災害時対応の準備が必要と感じて、昨年度に助成金を頂いて準備をして来ましたが、運用場所として福祉避難所として使わせて頂ける事になりました。

 

名取市の防災安全課のご協力により、お部屋を貸して頂ける事になりましたので、お知らせいたします。

 

会員さん(ご本人)を対象に災害時対応として、ご利用頂けます。

(未成年の場合は保護者同伴可)

 

「香りが苦手」とご本人は言っていても、実際には香りが強い方もよくいますので、誰か分からない方が来られてしまうと他の発症者が苦しんでしまうなど・・・

様々なトラブルを防止する為に、会員特典とさせて頂いています。

 

安全な空気と水の確保が必要になります。

⚫シックシェルター

 (空気清浄機付きのテント)

⚫空気清浄機(2台)

⚫汚水を飲用水に変えられる浄水器

を助成金を頂いて団体として準備させて頂いています。

(2019年の総会でご紹介した物です。)

https://drive.google.com/open?id=1Frb1WPg8FMMPNdKh2lGiuYvO2lvkQS1L

 

災害状況に応じて、必要な物を使います。

万が一、要避難者の化学物質過敏症の方でご希望の方がいた場合は、ご連絡をください。

場所などの詳細をお伝えさせて頂きます。

 

当団体が災害に向けて準備してきた内容です。

宮城県内の過去の大地震 → コチラ

災害時の対応(案) → コチラ

 

※食料や毛布、マスクや酸素などの各自必要な物はご持参ください。

※全ては自己責任でお願いします。

※貴重品の管理は各自お願いします。

※会員登録は随時入会可能です。

※未更新の方は、更新をしてご利用可能です。

※他の発症者に影響を与えてしまう可能性がありますので、第三者の入室は禁止とさせて頂きます。

 

ホームページ

https://pyuai-miyagi.jimdo.com

 

会員登録

https://pyuai-miyagi.jimdo.com/%E4%BC%9A%E5%93%A1%E5%88%B6…/

 

【お問い合わせ】

みやぎ化学物質過敏症の会

~ぴゅあい~

電話 

022-702-7969

台風対応のために、時間外でも可能です。

必ず番号を通知しておかけください。

電話に出られない場合は、折り返しご連絡いたします。


一般の人とココが違う!

ここで言う一般の人とは、健常者と障害者ではありません。

化学物質過敏症を発症しているかどうかの違いです。

 

一般の人と快適や苦痛の感覚が全く違うのです。

一般の人なら・・・

「新しい方がいい」「キレイな方がいい」と思うのは当然ですね。

ところがおもしろい事に一般の人とはニーズが違います。

化学物質過敏症の人は・・・

「古い方がいい」というのも、ちょうどいいのですよね~。

 

名取市の場合は、駅の目の前で、新しくて高い場所にある公民館は、一般の人にピッタリ。

古い建物で車が置けるという方が助かります。

 

仙台市のように、福祉避難所と言っても、特養などの介護施設では化学物質過敏症の人は消毒薬のにおいがあって入れないのです・・・。

公民館や市民センターのように、平常時に医療的処置などをしないような場所がいいですね~。

でも、平常時は貸館事業が入っているので、その時の状況によると思います。

但し、被害の規模にもよると思いますが、平常時は貸館業務などがあるので、なかなか居る事が難しい場合もあるのかも知れません。


NHK厚生文化事業団より

NHK厚生文化事業団のわかば基金の担当者から、安否確認のご連絡を頂きました。

日赤と共に災害義援金を集めていて、配分先に宮城県も入っているために、被災状況の確認だと思います。

おかげさまで被災された方はいない事をお伝えさせて頂きました。

 

そして、昨年度に、こちらの支援金にて、災害時対応としての準備をさせて頂く事が出来ました。

それによって、今回の災害では化学物質過敏症専用の避難所を開設させて頂ける事になりました。

 

「一般の避難所には行けない」

という

『出来ない』

という初めは漠然とした大きな課題を、どうやったら

『出来る』

ようになるかを考えた中での、私達の取り組みは・・・

ほんの小さな第一歩です。

 

まずは1つの事例があれば・・・

それが他の地域、

全国へと広がって行く事によって・・・

常識化して行けるようにと願っています。

 

とてもありがたいご報告をさせて頂く事が出来ました。

それと同時に今回の災害では新たな課題も生まれて、これからまた体勢を作って行きたいと思っています。

 

そしてまた別には、化学物質過敏症に対してご協力したいという方々からは、チャリティーイベントをして、資金援助の候補として当団体を検討してくださっているという所もあるようです。

 

でも、いざという時に、人材不足ではどうにもなりません。

私達の活動にご協力を頂ける方がいましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

 

そして、当事者のみなさまは、『出来ない』という事に対しての

不平不満を言っても前には進みません。

お互いに望んでいる事は前に進むことです。

それぞれに頑張って前に進んで行きましょう。

化学物質過敏症の人が生き延びるためには・・・

社会全体での理解とご協力が大切です。

ぜひご理解とご協力をお願いいたします。